「アイネクライネナハトムジーク」(伊坂幸太郎)の感想
伯爵レグホン大佐 2014/10/19(Sun) 14:37
あらすじ
伊坂幸太郎は斉藤和義というミュージシャンから「恋愛をテーマにしたアルバムを作るので歌詞を書いてくれ」と言われた。 しかし、伊坂幸太郎は作詞はできないので小説を書くことにした。 その小説が本書である。 「出会い」をテーマにした物語。
感想
タイトルが長くて読みにくい。この作品はタイトルだけでなく内容もわかりづらい。内容がわかりづらいのは「現在」「数年前」「数十年前」などの構成で話を進めているからである。伊坂幸太郎はこの手法をよく使う。
本書は各話がつながっている短編集だが、最終章のナハトムジークは構成が特に複雑で分かりにくい。ナハトムジークは「現在」「19年前」「9年前」の話が順番に進んでいく。読んでいて全くわけが分からないことはないが「○年前」とかは読者からするとどうでもよい。
同著の同じような構成の作品として「フィッシュストーリー」や「ゴールデンスランバー」が挙げられる。フィッシュストーリーを読んで違和感を抱いたり、読みづらさを感じたりしない方なら本書もスムーズに読めると思う。
本書は恋愛小説を無意味にミステリー風にした作品と思ってもらえば良いかもしれない。各編にはさまざまな伏線や、読み返すと新しい発見があるらしいのだが、何度も読み返す気にはならない。各編のストーリーが先日の「銀行強盗にあった事件」くらい短ければ、そんな気にもなれたのだが。
ストーリーは出会いを中心として構成されている。誰が主人公なのかはよく分からないが、いろいろな人の出会いが描かれる。出会いにもいろいろあるということだ。
ちなみに本書にはミュージシャンの斉藤和義も登場する。彼は浮浪者のような姿で路上に座っており、100円を払うと払った人の気持ちをイメージして歌を歌う。彼がストーリーの根幹に直接関わっているわけではないので一種のファンサービス、あるいは宣伝だと思う。しかし、あとがきを読むまでは、彼が実在するミュージシャンであるとは思いもよらない方が多いのではないだろうか。
本書を読み、斉藤達弘というミュージシャンを知ることができた。おわり。
↑誰?
伊坂幸太郎の本の感想文
- ラッシュライフ
- グラスホッパー
- あるキング(完全版)
- バイバイ、ブラックバード
- マリアビートル
- 夜の国のクーパー(単行本)
- 夜の国のクーパー(文庫版)
- ガソリン生活
- 死神の浮力
- 首折り男のための協奏曲
- アイネクライネナハトムジーク
- 火星に住むつもりかい?
単行本未収録作品
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