「ラッシュライフ」(伊坂幸太郎)の感想

★★★★★
伯爵レグホン大佐 2013/07/07(Sun) 15:34

あらすじ

画商の金持ちおじいさんと、泥棒の男と、宗教にはまる青年と、ヒステリックな女と、リストラされた初老男性のミステリー小説。

感想

画商という職業はどうやったらなれるのだろうか。疑問に思うことがある。画商と言うくらいだから絵を売るのだろう。絵を売るわけで、個人営業なら画廊みたいなものを繁華街とかで開いてそこで売るのだろうか。

繁華街を歩いていると、絵のポストカードを「どうぞ」と渡されることがある。ティッシュ配りのように渡されるわけである。で、受け取ると大抵はそのまま終わるのだが、まれに「絵を見ていきませんか?」みたいなことを言われる。そこには画廊があり、入館を勧められるのである。

これはキャッチセールスに入るのだろうか。よくわからない。画廊に入ってしまうと高額な絵を無理やり買わされるのかもしれない。無理やりというが、本人が了承してサインなどしているわけだから無理やりと言えるのかどうかは分からない。嘘の説明をして「名前だけ書いてくれればいいんです」みたいなことを言うのかもしれない。

よくニュース番組で一般市民が「聞いていない。知らなかった」とか言っている気がする。聞いていないのは聞かないのが悪いのか、それとも教えないのが悪いのか。都合が悪いことは教えないので客のほうは聞いていないということか。知る権利というのが世の中にはあるのだとか。それはそうとこの小説には画商が出てくる。「金があればなんでもできる」とその画商は言う。実際、小説では何でもやっている。人を買ったり、つぶしたり。

これはミステリー小説なので初めて読むときは面白いが、読むのが4回目くらいになると話が分かっているのでミステリーでなくなってしまうと思う。私はこれをミステリー小説の宿命であると思う。5人の話がそれぞれ進行していくので初めて読むときは複雑で分かりずらい。今のところ、私は伊坂幸太郎の作品の中ではこの作品が最も面白いと思う。

印象に残った箇所

  • 足の付け根とは、足のどのあたりを指すのかがよく分からない。
  • 高橋さんこと新興宗教の教祖は信者の幹部に解体される。解体はのこぎりで行うという。シンプルな発想だが疲れると思う。
  • 「イッツ・オールライト」

    英語が超苦手な人には意味が分からない言葉。たぶん「全部、だいじょうぶ」みたいな意味だと思う。

伊坂幸太郎の本の感想文