「夜の国のクーパー」(単行本…伊坂幸太郎)の感想

★★★★★
伯爵レグホン大佐 2013/10/09(Wed) 22:03

あらすじ

「帰ろう。」「帰るか。」〜これは猫と戦争、そして何より、世界の秘密についてのおはなし〜と帯に書いてある。

感想

本書はファンタジー色の濃いミステリー小説だと思う。ミステリー小説は、初めて読む際はとても面白いが、2度目は内容を知っているのでそうでもないという残念なジャンルだと私は思っている。そういうわけで、もう一度本書を読むのはおそらく、本書が文庫化されたときだと思うが、その時には今回読んだ時ほどの面白さはないと思う(→文庫版の感想)。

この本を購入したのは去年だったと思う。古本屋で半額で売っていたので単行本だけれども買ってみた。それから結局、読まない日々が続き、今週から読み始めて、ようやく昨日読み終えた。あまり読む気がしなかったのは本書が分厚いからだと思う。単行本は大きくて分厚いために読む気が削がれてしまう。

本書は前に読んだ「マリアビートル」の文庫版(約600ページ)と同じ厚さだが、単行本はサイズが大きいため嫌になる。これでは電車の中で読めない。バスの中でも読めない。正確に言うと読みたくない。移動する際に、こんなにでかい本を持ち歩きたくない。そういう気持ちが湧く。

それに家で本を読むなんて、時間を無駄にしているような気がする。家で読んで良い本はマンガ、週刊誌、雑誌、教科書くらいだと思う。私の中では小説や新書は、公共交通機関で移動時に読むものだという位置付けになっている。しかしながら季節は秋で、秋と言えば読書をするものだと誰かが言っていたような気がするので、せっかくだから読むことにした。

ところで「電車などの移動中に本を読むと景色を楽しむことができないですよ」とかなんとか言っている人を小説かマンガで見たことがある。そういう人もいるので移動中に本を読むことが良いことかどうかはわからない。人それぞれということにしておこうと思う。

本書は主人公が猫で、猫視点でストーリーが進み、日本人らしき人物が出て来て、猫が自分の住んでいた国で起きた出来事を彼に話していくという構成になっている。さらに猫視点の話や日本人らしき人物の視点の話の他にも、クーパーの兵士という兵士視点からの話も進む。それぞれの視点は時間軸が異なるのでややこしい。

本書はファンタジー小説だが、ミステリー作家が書いたからか伏線がやたら多い。終盤にはどんでん返しがある。まさか、と思う展開になっている。しかし、勘のいい人はそうはならないようで、読む人によるのだと思う。あまり深く考えずに世界観に入り込むと良い。

帯にある通り、本書は戦争の話である。というよりも猫の住む国が敗戦をしたところから物語は始まる。世界のひみつの話と帯に書いてあるが、確かにそういう話でもあるし、そうでない話ともいえる。

それにしても終盤には驚いた。しかし世の中にはこのくらいのことは予想できるという人もいるようで、そういう人には面白くないらしい。たとえばこの読書感想文を書く前に他のサイトのレビューを見たのだが、そこには次のようなことが書かれていた。

伊坂幸太郎最新作『夜の国のクーパー』が想像以上に......。

なかなか魅力的な感想だと思いました。取り急ぎ私もゆあさ社長をみざしたいと思います(by take)。ですから感想はこれで終わりたいと思います。

印象に残ったこと

  • 「これはゆあさ社長とその仲間たちのおはなし」

    ブログ「ゆあさ社長はのんびりくらしたい」より。よくわからないが、本書よりもゆあさ社長の方が面白い気がしてきた。

  • 「冠人の頭に穴が開くのが、僕には見えた。あら、と思う。あら、血が飛び出した。冠人は目を白くし、その場に倒れる。片目の兵長の武器、銃が、冠人の頭を破壊したのだ。」

    冠人とは猫の住む国の王。どうでもいいが読点(とうてん)を使いすぎだと思う。

  • 「私の数少ない趣味の一つは、少額の株取引だった。金儲けがしたいというよりは、四季報を読み、経済誌に目を通し、ネットで株の売買をすることで、自分が大きな民間企業の一躍を担っている気分を味わいたかったのだ。」

    四季報とは結局なんなのか未だにわからない。これも読点の使いすぎだと思う。

  • 「みなさんこんにちは! 秘書のほそかわです。」

    ブログ「ゆあさ社長はのんびりくらしたい」より。やはりゆあさ社長の方が面白い気がしてきた。

伊坂幸太郎の本の感想文