「グラスホッパー」(伊坂幸太郎)の感想

★★★
伯爵レグホン大佐 2014/03/29(Sat) 00:10

感想

本作は以前に感想を書いた「マリアビートル」の前作に当たる。しかし、マリアビートルと本作はそれほど話につながりはないので、これを読まずにマリアビートルを読んでも特に問題はないと思う。本作の登場人物は作中でほとんど死亡するため、次作のマリアビートルでは、本作の登場人物は以前そういう人がいたという程度にしか出てこない。

本作は殺し屋3人(押し屋、ナイフ使い、自殺屋)が適当に戦う話である。押し屋とは人を押すのが仕事らしい。押して車に轢かせる。人を押すから押し屋ということ。シンプルだと思った。

自殺屋は人を自殺させるから自殺屋らしい。よくわからないが自殺屋と対面した人は、自殺したくなるらしい。とても便利な能力だと思った。

ナイフ使いはナイフを使うからナイフ使いである。どうでもいいが作中には「ナイフ使い」という言葉は出てこない。帯に書かれてあるだけである。ナイフで相手を刺すのはわかりやすい方法だと思うが、ナイフを持っていることがバレれば逮捕されたり、相手に逃げられたりするので難しそうだと思った。

よくドラマなどで脚や腕にナイフを刺されて死ぬ人がいる。実際のところ、刺されただけで死ぬのか疑問に思うことがある。とても痛いとは思うが、ただ脚や腕を刺されただけで死ぬのかどうか疑問に思うのである。刺された場所がよっぽど悪いところだったのだ、ということにしておこうと思う。

↑危険です。死にます。検索すれば例が出てきます。コンビニで買い物をしているときに、つまようじや家庭用のはさみ、洗濯ばさみ等を持ったコンビニ強盗が現れても抵抗しないようにしましょう。できれば全力で逃げましょう。

正直、本書を読んでもあまり感想が浮かばない。読書感想文を書くには不向きな小説だと思った。 仮にこの本を小学生~高校生が夏休みなどの宿題の読書感想文用に購入したとしても、まともな感想が書けるとは思えない。

本書を読書感想文用の本として使用することを私は推奨できない。そんな作品である。

おわり。

印象に残ったこと

  • 自殺屋の自殺のさせ方。もう何でもありな気がする。「反論するなら対案を出せ」に似ていると思う。「俺に1億円よこせ。反対するなら俺に1億円が入る対案を出せ」。そんな対案はないが、対案がないからといって反論が間違っているわけでもない。そしてこういう話の進め方をしていると、どういう道に進んでも相手の「1億円よこせ」という結論に変化がない。
  • 体を動かしていると何も解決していないのに解決した気分になってくる。私にもそういうことはよくある。

伊坂幸太郎の本の感想文