「死神の浮力」(伊坂幸太郎)の感想

★★★★
伯爵レグホン大佐 2013/10/20(Sun) 02:08

あらすじ

死神の千葉を長編で読める日が来た! お前はまだ死なない。俺がついているから。死神の千葉、敵討ちに参加!! 娘は殺された。相手は二十五人に一人の、良識を持たない人間。――犯人を追う夫婦と、千葉の七日間

と帯に書いてある。

感想

本作は「死神の精度」の続編にあたる。 そのため前作の登場人物が回想程度に登場する。 他にも伊坂幸太郎の他作品の登場人物が回想程度に登場するが、ストーリーにはあまり関係がないので気にすることはないと思う。 ファンサービス的なものだと他のサイトのレビューに書いてあった。

前作の「死神の精度」は全6話の短編だったが本作は長編である。 ページ数は400ほど。「マリアビートル」(約600ページ)ほどではないので読みやすい。 やはり私には400ページくらいがちょうど良い。

今回のストーリーは、ある夫婦の娘が「サイコパス」とやらに殺されるというもの。 そのサイコパスは逮捕されるが、裁判では無罪となり、釈放されたらしい。 そこで夫婦は満を持して、そのサイコパスに敵打ちをしようと躍起になる。 そこへ死神の「千葉」が仕事をするために夫婦の家を訪れ、夫婦に付いて回るというストーリー。

要はサイコパスを倒すという単純明快なストーリーであり、わかりやすいと思う。 ゆあさ社長のようにドミノ倒しをしなくてもよい。 ところで今回もゆあさ社長のレビューを参考にしようと思ったのだが、ゆあさ社長のブログは大分前から更新を停止していたのでレビューがなかった。 大変残念だと私は思った。 私が政治家なら遺憾の意がどうの、こうのと言っていると思う。 ただ私は政治家ではないので言わないことにしている。

ちなみに死神の千葉は、対象の人物の調査を行い、「死」を実行するのに適しているかどうかを判断し、報告をするという仕事をしている。 今回の調査対象は、敵討ちをする夫婦の夫の方であり、仕事として調査をするために夫婦に取り入り、行動を共にすることになる。

ところで本作では、サイコパスとは25人に1人いる良識を持たない人という設定になっている。 サイコパスは良識を持っていないので、できないことがない人たちだと、夫婦の中の夫の方が言っている。 サイコパスは人の迷惑を考えないため、騒音おばさんのように大音量でラジオや音楽を流すことができる。 また、サイコパスは良識がないので、電車の中で座り込み、弁当を食べたりすることもできる。 しかし、本当のサイコパスは良識がないだけで世間体は気にしていると思うので上記2点のようなことはしないと思う。

それはいいとして、本書を購入した際のレシートを見ると、商品項目に英文学と記載されていた。 本書は日本人作家による日本の小説である。 タイトルを英語で書いているためか、バーコードで決まっているからかどうかは知らないが、なぜか英文学という項目に分類されている。

それで結局のところ感想としては、伊坂幸太郎のいつも通りの勧善懲悪な内容で面白かったという程度しかない。 同著の「マリアビートル」や「オーデュボンの祈り」と同じく、悪役がどういう結末を迎えるかを楽しむ話だと思った。 悪役が一人いて、それを倒せば終わりなので話が分かりやすくてよい。 ドラゴンクエストのストーリーくらいわかりやすい。 魔王を倒せば世界は平和、みたいな感じである。

ちなみに上記のような、いつも通りの作風の方が読者には好まれているらしい。 他のサイトのレビューが口を揃えてそう言っている。 一時期、伊坂幸太郎はいつも通りの勧善懲悪のストーリーをやめて、悪役を倒しても意味がないよ的なストーリーの小説を書いていたのだが、結局、それは受け入れられなかったらしい。 同著の「モダンタイムス」や「ゴールデンスランバー」はそういうタイプの作品である。 これらは結局、受け入れられなかったので、それはもうやめて以前の作風に戻したのだと他のサイトのレビューが口を揃えて語っている。 正直なところ、私はそんなに深く考えながら本を読んでおらず、私には関係のないことだと思った。 私はそこまで考えながら感想を書いていない。 ドミノ倒しなんて思いもよらなかった。

最近、伊坂幸太郎の本の感想をよく書いているがそれ以外の本も読んでいる。 この前「数字の扱いがうまくなる〜」みたいな本を読んだが、さっぱり意味がわからなかった。 感想を書く気にもならない。 ちなみに数字をうまく使うには@変換をすれば良いとのこと。 @変換が何かは本を読んでとしか言いようがない。 とりあえず単位換算みたいなものだと思えば良いと思う。 自分のわかりやすい単位に揃えれば扱いがうまくなるらしい。 もちろん、扱いがうまくなるためには@変換すれば良いだけではない。

私は数字の扱いがうまくなりたかったのでその本を読んだのだが、書いてあることは会計の話が多かった。 試算表だとか決算書だとか、そういうのをどうすればわかりやすく読み取れるかを示していた。

私が求めていたのはそういうことではなかった。 私は2,670円の27%はいくつですとか、35.7÷67.3はいくつですとか、4.89×3.561はいくつですとかを暗算でスラスラと言えるような方法を探していたわけで、その本はそういうことには全く触れていなかった。 とりあえず本をタイトルで選んではいけないということ。 おわり。

印象に残ったこと

  • 「僕の読んだ本にはこう書いてあったよ。良心を欠いた行為で捕まるのは例外的だって」

    たとえば当サイトのリンク集にある「555の領域」の管理人が、腰パンしない人を殴ったのに反省のそぶりを見せるどころか殴ったことを自慢していても捕まらないということ。やはり捕まるのは例外的だと実感できた。555は謝っているので許してやってください。

  • 「ただ、今回ね、二十年延長、って決めてあげれば。その人間は自殺や病死からも免れるんじゃないのかな。二十年は生き延びられるってわけ。二十年保障ね」

    死神は還元キャンペーンを行っており、調査対象の人物の20年保障を始める。

伊坂幸太郎の本の感想文