試験概要

試験概要・受験申請書

土地家屋調査士試験は、筆記試験(午前の部、午後の部)と口述試験で構成されます。ただし、口述試験を受けられるのは筆記試験の合格者のみです。筆記試験は午前の部、午後の部ともに択一式(午後の部は民法、不動産登記法、土地家屋調査士法)と記述式(午後の部は計算、論述、申請書、作図)の問題が出題されます。午前の部は60/100点、午後の部は50/100点が択一式の配点です。

日程(2018年度試験の例)
7月初旬~受験申請書を配布
7月末頃~(12日間)受験申請書を提出
10月下旬筆記試験(午前の部、午後の部)
11月下旬択一式の基準点を発表
(同日、筆記試験の問題を公開)
1月初旬筆記試験の合格者を発表
(同日、記述式の基準点を発表)
1月下旬口述試験(木曜日)
2月中旬最終合格者発表

詳しくは法務省の受験案内を参照のこと。受験会場は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、高松、広島、福岡、那覇の9か所です。合格率は例年9%弱ですが、受験会場ごとの合格率に推定最大約3、4倍くらいの差があり、この9%という合格率には額面通りに受け取れないような面があります。たとえば受験会場に行って、この中の10人に1人が試験に受かるんだな!と思っていたら実際には30人に1人しか試験に受からなかった・・・というケースも考えられます。

これまで合格者が少なかった受験会場から合格者が全国平均程度の割合で輩出される際は、合格者の受験番号が連続して1か所に固まっていることもあります。たとえば志願者250人、合格者25人の場合、なぜかそのうち10人弱の合格者の受験番号が連続しているか、1つ間が空いているだけでかなり近くに固まっていることがあります。もしかすると、どこか特定の予備校利用者などの有力なグループが集団受験をしているのかもしれませんね!

受験申請書の受付期間は12日間

土地家屋調査士試験は、受験申請書の受付期間がとても短いです。概ね7月の最後の月曜日~8月の最初の金曜日に当たる12日間しかありません。

受験申請書を法務局に持参する場合の注意点

受験申請書を法務局(地方法務局を除く。以下同じ)に持参する場合は、その法務局の中で直接受験票に受験番号のハンコを押されて、そのまま受験票が直接受験生に返却されます。そのため、受験申請書を法務局に持参する場合は受験票の裏面に切手を貼ったり、住所を書いたりする必要がありません。

土地家屋調査士試験は、午前の部の免除を受ける志願者に対しては、受験会場ごとに5001番、5002番、5003番……と、5001番から始まる数字を受験番号にしています。そのため、自分の持つ受験番号が若ければ、日本全国に自分と同じ受験番号を持つ志願者が8人いることもあることになります。

ちなみに土地家屋調査士試験を午前の部から受験する志願者に対して割り振られる受験番号も、各受験会場ごとに1番から始まります。そのため、午前の部の免除を受けない志願者が1つの受験地内で5000人を超えると、受験番号の割り振りが杓子定規にはいかなくなります。

受験申請書を郵送する場合の注意点

書留は「かきめ」と読みます。「かきめ」ではないです。

筆記試験(午前の部)

免除について

午前の部は「測量士、測量士補、一級建築士、二級建築士」のうち、どれか1つ以上の資格を持っていると申請により免除されます。この中では測量士補が一番簡単かつ午前の部よりも易しいため、午前の部に関しては測量士補試験に合格して免除を受けるのが一般的です。

土地家屋調査士試験の講座を開いている資格の学校各社も測量士補試験に合格して免除を受けることを勧めており、書店に行っても午前の部専用のテキストや過去問は売られていません。つまり、もし午前の部を受けようと思っても、まともに学習するすべがないのです。

午前の部に関する書籍等を購入すれば勉強することはできますが、いずれも困難な道だと思います。午前の部は記述式問題の合格基準点が8割~9割近くになっているためです。しかし、私は午前の部を受験したことも、勉強したこともありません。そのため、もしかすると案外勉強すれば記述式問題で8割~9割近い点数を取ることも可能なのかもしれません。合格者も毎年10人前後います。

土地家屋調査士試験の受験生が取得済みの資格

「日本土地家屋調査士会連合会」が実施した平成26年(2014年)度 土地家屋調査士試験の受験者向けアンケート調査によると、回答数192名中128名(66.66%)は測量士補の資格を持っていたそうです。

受験生が取得済みの資格
取得者数/回答者数割合
測量士49/19225.52%
測量士補128/19266.66%
一級建築士8/1924.16%
二級建築士10/1925.20%
司法書士9/1924.68%
行政書士19/1929.89%
不動産鑑定士0/1920%
宅地建物取引主任者63/19232.81%
その他26/19213.54%
なし0/1920%
未回答3/1921.56%

法務省発表の得点別員数表によると、平成28年(2016年)~平成30年(2018年)は、午前の部の受験生が日本全国に毎年130~150人くらいいました。土地家屋調査士試験の受験生は例年4,500人くらいなので、ほとんどの受験生は何らかの方法で午前の部の免除を受けていることになります。

筆記試験(午後の部)

試験概要

択一式50点、記述式50点の合計100点満点です。

択一式は全20問出題されます。民法3問、不動産登記法16問、土地家屋調査士法1問です。択一式は1問2.5点です。

記述式は土地の問題と建物の問題が各1問ずつ出題されます。各問の中には小問が複数あり、内容は計算、論述、申請書、作図の4つです。

具体的には次のような流れになります。試験時間は2時間30分(150分)です。非常にタイトな試験です。

  • 択一式(?分)
  • 土地・座標値の計算(?分)
  • 土地・論述(?分)
  • 土地・地積の計算(?分)
  • 土地・申請書の作成(?分)
  • 土地・地積測量図の作成(?分)
  • 土地・辺長の計算(?分)
  • 建物・論述(?分)
  • 建物・申請書の作成(?分)
  • 建物・各階平面図の作成(?分)
  • 建物・床面積の計算(?分)
  • 建物・建物図面の作成(?分)
  • 見直し(?分)

択一式

問題文を半分しか読まずに9割以上取れという試験です。

他の法律関係の資格試験(たとえば社労士試験や宅建試験等)と同じような感覚で問題を解いていると、土地家屋調査士試験の択一式はそれを全部解くのに1時間弱はかかりますが、土地家屋調査士試験は、後に控える記述式の問題を解くためにもさらに膨大な時間がかかるため、択一式の問題は25分くらいで全問解けるようにしておかなければなりません。

もしあなたが社労士試験の合格者なら、社労士試験の択一式の問題数(70問)が制限時間はそのままで約160~200問になったのと同じくらいのスピードで問題を解かないといけないと考えてください。試験時間が足りないため、各問につき5肢中2、3肢は問題文を読まずに解くという人もいるくらいです。

しかし、そのような危なげな解き方をする一方で、択一式よりも記述式のほうが高得点は難しいため、合格に必要な択一式の得点率はかなり高く、記述式が合格基準点(≒合格最低点)でも合格できる「得点率9割以上」が択一式の合格安全圏とされています(ただし、例年、択一式で8割~満点を取った受験生の約半分~4分の3は記述式のほうで点が取れなくて試験に落ちています。択一式で9割以上の点数を取った上で、記述式のほうでもしっかり得点しないと合格はできません)。

択一式は、仮に約30年分の分厚い過去問題集を本試験に持ち込んで、時間無制限で問題を解いたとしても得点率は6、7割くらいがやっとなので、9割取るためには別途、ほかの物での補強が必要です。加えて短時間で問題を解けるかどうか、それ以前に過去問や六法等の内容を試験に持ち込めているのと同じくらいの精度で身につけられているかどうかですね。

1肢にかけられる秒数

仮に択一式の肢を全部読んで解答する場合、1肢に何秒かけられるか。

1肢にかけられる秒数
試験時間問題数1肢の
秒数
合格得点率
土地家屋調査士25分20問(100肢)15秒9割前後(例年)
1時間36秒
宅地建物取引士2時間50問(200肢)36秒74.0%(H30)
70.0%(H29)
70.0%(H28)
社会保険労務士3時間30分70問(350肢)36秒64.2%(H30)
64.2%(H29)
60.0%(H28)

なお「25分」の1個下の1時間の行はおまけです。宅建試験や社労士試験と同じく1肢36秒なら1時間が目安だよねっていう。しかし、実際のところ、宅建試験も社労士試験も、1肢解くのに36秒も時間はかからず、普通に問題を解いていたら試験問題を全部解き終わってもまだ2、30分くらいは試験時間が余りますので、普通に問題を解いていたら全部解くのに1時間弱かかる土地家屋調査士試験の午後の部の択一式の試験時間は、1肢36秒では足りないのですが。

記述式

土地と建物の各問につき、5~9ページくらいの問題文を読み、論述式の問題に解答し、登記申請書とそれに添付する図面を作成します。土地の図面には位置が未判明の頂点が複数あるため、三角関数や直線の方程式、内分点の計算等(高校2年生で習う数学が主)を使って、そのX・Y座標を求めます。

記述式はすでにその答えを知っていたり、答案用紙の横に模範解答を置いて、それを書き写したりしているのと同じくらいの実力がないと、最後まで解き切り、かつ確実に高得点を取ることが困難な試験です。


計算

例年2、3問出題。中高の定期試験で言うところの図形問題に当たります。何かに気がついたり、何かとっぴなことを思いついたりしないと解けません。しかし、考える時間はないため、問題を見て瞬時に解き方を思いつかなければなりません。測量士補試験と違って電卓を持ち込めます。関数電卓を使います。

論述

出題された事例をふまえた上で、不動産登記法や民法に関わる問題に対して、その結果と理由を答えます。知識を事例に当てはめて、きちんと回答する能力が必要です(助け舟のない口述試験のようなもの)。知識があやふやな人にとっては択一式で出題されれば分かるけれど文章では書けないという、読めるけれど書けない漢字のような難しさがあります。

申請書

出題された事例をふまえた上で登記申請書を作成します。申請書は記述式の勉強の中では書けるようになるまでに一番時間がかかるところですが、私は受験生は申請書が書けるかどうかでは誰も争っていないと思います。申請書は書けて当然です。大事なのは何の申請書を書くかの判断を間違えないことです。

作図

地積測量図、建物図面、各階平面図の3種類です。まれに土地所在図を付け足すこともあります。三角定規を使って、目には見えない0.1ミリ単位を気にしながら4、5個くらいの図面を引き(市販の三角定規には1ミリ単位の目盛りしか入っていないため、0.1ミリ単位の数字については感覚で書き分ける必要があります)、辺長や地積、床面積の計算をします。関数電卓の複素数モードを使います。


なお、記述式はすべて黒インクのペンで解答します。時間がないため下書きはできません。とりわけ図面に関しては、鉛筆書きの線の上をボールペンでなぞるとインクが乗りにくいため、下書きには向いていないと思います。

なお、建物のほうが小問が少ないのは、建物には座標値の計算問題がないためです。一方、土地は座標値の計算ができないと申請書を完成させることができなくなり、図面にその座標値が関わる辺長も記載できず、作図も正攻法では行えなくなります(ただし、近年[いつ?]は計算2問目以降を求められなくても図面は書けるような問題が出ています)。

なお、記述式の模範解答や配点、採点基準等は公開されておらず不明です。採点結果は0.5点刻みで出ます。採点の不公正さを叫ぶ人もいます。薄々何かに気がついて受験をやめたり、周りに実体験を言いふらしたりしている人がいるのか、失われた20年のような不況期の資格取得ブームのさなかにあっても土地家屋調査士試験の志願者は年々減少傾向にあります。しかし、合格者の数は例年一定(約400人)のため、受けるなら志願者が減少している今がチャンスの試験です。

私の開示請求の結果

私は開示請求は平成29年(2017年)度のものを2回、平成30年(2018年)度のものを1回請求しましたが、いずれも答案用紙は廃棄済みであるとして開示請求を却下されています。初めて私の元に戻ってきた令和1年(2019年)度試験の答案用紙のコピーは、私が本試験で書いた答案とはサイズが別のものに変えられており、図面の線がすべて等しい割合で不正確なものになっていました。

思い返してみれば、法務省はかつて定規に関しては受験案内書の携行品欄に「三角定規」としか記載していなかったにも関わらず、平成26年(2014年)度試験までは一部の受験生が直定規を持ち込んでいたのを黙認していたり、また、平成30年(2018年)度試験以降の問題用紙からは三角関数の真数表を消して、一部の特殊な電卓を試験に持ち込んでいないと答えを出せない問題を出したりしており、そもそも試験が公正に行われていないことは明白でした。合格者を選ぶのは試験を行う側であり、受験生がどんな不正を働こうとも、あらかじめ合格者がおおむね決まっているような試験においては問題ないことだったのかもしれません。

口述試験

試験範囲は不動産登記法と土地家屋調査士法です。たとえ不合格になったとしても、それが1度目なら翌年度の筆記試験(午前の部、午後の部の両方とも)が免除され、もう一度、口述試験だけを受けられます。2回連続で口述試験に落ちると、その後は筆記試験の午前の部だけが免除されます。

合格の秘訣

土地家屋調査士試験は宝くじ、サッカーくじで1億円以上の高額当せんを出した人よりも合格者数が少なく、月刊誌「不動産法律セミナー」の合格者アンケート調査によると、例年その回答者の9割強~1の位を四捨五入すれば最大100%になるような割合の人たちが受験指導校を利用しており、もはや独学合格者など存在しないに等しい存在です(いることにはいますが……。たとえば平成27年(2015年)は宝くじ、サッカーくじで1億円以上の高額当せんが448口あったそうです。朝刊の開運グッズの紙面広告に載っていた数字です。土地家屋調査士試験の合格者は例年約400人です)。

あなたの周りに宝くじ、サッカーくじで1億円以上の高額当せんを出した人はどのくらいいますか? 10人くらいいますか? 2016年7月のニュースによると「戦後の総理大臣は33人中13人が親戚だった」という情報もあり、自分の親戚の中に宝くじ等で1億円以上を当てた人が10人いないなら土地家屋調査士試験の独学はやめたほうが良いです。

しかし、もしあなたが予備校講座を利用するなら、将来の合格者がたくさんいる環境に身を置くこともできるため、まだ可能性も出てきます(そこからは合格者がどんどん出ていますからね)。予備校講座を利用するということは、総理大臣の親戚になるということです。出ないところからは出ないのが、総理大臣と土地家屋調査士試験の合格者です。であるならば、取るべき道は一つしか残っていないでしょう。それは予備校講座を利用して土地家屋調査士試験に合格することです。