独学で測量士補試験に合格する方法
試験の難易度
難易度は低いです。10年分の過去問を解けばまず受かります。出題形式はすべて択一式のマークシート方式で全部で28問出ます。そのうち18問正解で合格です(要は得点率64.28……%で合格です。割り切れません)。
28問中18問くらいは文章の正誤を問うような、ほかの資格試験でもよくある普通の問題が出ます。残りの10問くらいは計算問題です。解答時間は3時間です。普通に問題を解いていれば、試験時間は余ると思います。
年度 | 合格率 |
令和元年(2019年)度 | 35.8% |
---|---|
平成30年(2018年)度 | 33.6% |
平成29年(2017年)度 | 47.3% |
平成28年(2016年)度 | 35.9% |
- 最新の合格率や試験の概要を知りたい方は国土地理院を見てください。
- 受験資格はなく、誰でも受験することができます。
- 試験には直定規を持ち込めます。電卓は持ち込めません。
- 願書受付期間は平成31年(2019年)は1月4日(金)~1月28日(月)でした。
- 試験日は令和元年(2019年)は5月19日(日)でした。
- 合格発表日は令和元年(2019年)は7月9日(火)でした。
- 受験会場が設置されるのは北海道、宮城県、秋田県、東京都、新潟県、富山県、愛知県、大阪府、島根県、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県の14都道府県です。
- Wikipediaでは昭和25年(1950年)度~現在までの合格率の推移が見られます。大体20%~40%くらいです。
試験問題の難易度
計算問題(約10問)は、①四則演算と②比の計算が主です。③高校1年生で習う三角関数の公式(sinθ=高さ/斜辺、cosθ=底辺/斜辺、正弦定理、余弦定理など)を使う問題もありますが、そういう問題は1、2問くらいしか出ないので、できないならできないで無視してしまえば中学生並みの学力でも試験には合格できます。
- 測量に関する法規(簡単。常識で解けます)
- 多角測量
- 汎地球測位システム測量
- 水準測量
- 地形測量
- 写真測量
- 地図編集
- 応用測量
文章問題(約18問)は、測量の知識がない人は「写真測量」と「応用測量」が難しめです。テキストの内容はたぶん試験科目のこの順番に添って記述されていることが多いと思うので、試験前に慌てて勉強しているようだと、もう試験日が近いのに最後のほうに難しい内容や問題が残ることになって困ります。この2つは計算問題も難しめです。
勉強はなるべく早く始めてください。将来土地家屋調査士試験を受けるつもりがなく、測量士補試験の合格だけが目的なら、試験日の6か月前が1つの目安だと思います。土地家屋調査士試験を目指している方はこちら。
独学か通信教育か
要は自力で計算問題の解き方を理解できるかどうかの問題です。文章問題は過去問を暗記するだけで、ある程度の得点が見込めるため、文章問題が解けないから通信教育を選ぶというのはちょっと考えられません。
計算問題の難しい点は、解説を読んでも解き方が分かりにくいところです。1つ上でも書きましたが、内容は四則演算と比の計算が主なので、解き方さえ分かれば簡単に解ける問題ばかりです。
平成26年(2014年)度の計算問題とその解説
どんな問題が出ているかの参考にしてください。ちなみに高校数学を使っているのは一番上の問題だけです。
- 偏心補正計算の問題(多角測量 H26 No.6)
- 基線ベクトル成分から斜距離を求める問題(汎地球測位システム測量 H26 No.8)
- 再測する観測区間を求める問題(水準測量 H26 No.12)
- 地形測量の問題(地形測量 H26 No.15)
- 撮影高度を求める問題(写真測量 H26 No.19)
- 橋の実長を求める問題(写真測量 H26 No.20)
- 地図内の建物の経緯度を求める問題(地図測量 H26 No.21)
- 縦断測量観測手簿の空欄を埋める問題(応用測量 H26 No.26)
- 土地の面積を求める問題(応用測量 H26 No.27)
- 平均河床高の標高を求める問題(応用測量 H26 No.28)
独学では無理そうだと思った方は予備校講座(ページ下部に移動)の利用を検討してください。測量士補試験の合格率は20%~40%くらいのため、ネット上ではどんなに簡単だと言われていても、最大80%くらいは試験に落ちますので、あまりそういう話は鵜呑みにせずに予備校講座を利用したほうが良いと思います。
教育訓練給付制度[検索システム]によると、そこに載っている独学ではない方々の合格率は例年100%のため、その分、独学者は不合格のほうに押し出されていると考えることもできますので、独学者にとっては見た目の合格率よりも厳しいところがあるのかもしれません。
ネット上では工業高校生が合格率を下げているというウワサもありますが、ネットで検索してみれば彼らは合格率を下げるどころかクラス全員合格している学校もある有り様であり、また彼らは通っている工業学校の先生から指導を受けられる身のため、けして独学ではないでしょう。では一体どの層が合格率を下げているのかといえば、それは土地家屋調査士試験の合格を目指して独学で測量士補試験の勉強をしようとしている層ではないでしょうか?
文章問題よりも計算問題のほうが簡単
過去10年分の文章問題を丸暗記しても、本試験の文章問題で確実に満点を取れるとは限りません。本試験では過去に出題例がない文章問題も出るためです。またこれは私の体験談ですが、過去問と同じような問題でさえ、本番ではポロポロと点を取りこぼしてしまいました。文章問題には全力で取り組み、計算問題は当てずっぽうマークで合格しようという考え方は危険です。
一方、計算問題は、過去問と同じパターンの問題が何度も繰り返し出題されており、一度解いたことのある問題を再度解いているような感覚ですから、おおげさに言うと何が出題されるか分からない文章問題と比べると点が取りやすくなっています。計算問題は全問正解、文章問題は結果的に何点か取りこぼして合格というのが安全、確実な道だと思います。
どの分野を重点的に勉強すれば良いか
捨てても良い分野はありません。全8種の試験科目ごとの出題数を見てみると「写真測量」は出題数が多めです。その分「地形測量」は出題数が少なめになっています。しかし「地形測量」は頻出かつ比較的簡単な計算問題を擁する分野のため、落とすわけにはいきません。そもそも、多め、少なめと言っても、その差はたったの1問です。どの分野も出題数はほぼ同じです。
ただし、各科目の中の計算問題に関しては、出題例が少ないものもあります。そのため、どうしても理解できない計算問題があるときは、それが頻出の問題でない限り、2つ3つくらいは捨てても大丈夫ではないかと思います。
たとえば「多角測量」を例にとると、私が勉強に使った平成26年(2014年)度版の「測量士補 問題解説集」(市ヶ谷出版社の本。この本は試験に必要な内容をかなりしぼってくれています)には、偏心補正計算の問題がパターン別に5問、その他の計算問題が11問の計16問収録されていましたが、本試験で出題されるのは大体、偏心補正計算から1問、その他の計算問題から1問の計2問なので、偏心補正計算以外の11問の中に理解できない計算問題があったとしても、その問題が本試験に出題される可能性は低いので捨てるのもありだと思います。
ちなみに「写真測量」と「応用測量」は計算問題が難しめですが、どちらも計算問題がよく出る科目のため、この2つの分野の計算問題を全部捨てていると不合格の可能性がかなり高まります。頻出の問題は2つ以上捨てたら駄目です。
独学での勉強の内容
10年分の過去問が解ける実力を身に付けてください。
勉強すれば受かる
別の資格試験の話になりますが、たとえば司法書士試験や宅建試験等でも「過去問は大事だ」「過去問を解け」などとよく言われていますが、それらの資格試験の勉強をしたことがある人は、実際には過去問が解けるだけではそれらの資格試験に合格することは、実は難しいことを知っていると思います。ですから、ここで私が「10年分の過去問を解け」と言っても、実際には過去問が解けるだけでは合格は難しいのではないかと思う人もいるかもしれませんが、測量士補試験は本当に過去問さえ解ければ合格できる試験です。
必要な勉強時間
必要な勉強時間は人によって違います。過去問を解けるようになるまでの時間が勉強時間です。このページの1日ごとのアクセス数の推移を折れ線グラフで見てみると、1月の三が日を過ぎた辺りからアクセス数が伸び始め、同月の中旬を頂点として1つ目の山ができています。早い人は1月から試験勉強を始めているのではないかと思います。2つ目の山は4月です。最後の3つ目の山は5月ですが、この山は5月に入ってから試験日まで伸び続けて、ほかの山の2.5倍くらいの大きさがあります。試験日の6か月くらい前から勉強を始めるのが1つの目安だと思います。
独学での勉強の進め方
とにかく過去問が解けるようになるなら何でも良いです。
私の勉強の進め方
私は「測量士補 問題解説集」(市ヶ谷出版社)で主に計算問題の勉強をして、「測量士補試験WEB○×テスト」(リンク先は別サイトです)で文章問題の勉強をした後、同サイトで過去10年分の試験問題を試し解きして本試験に臨みました。
この本は試験に必要な内容をかなりしぼってくれています。特に計算問題に関しては、この本に出てくる問題をきちんと解いていれば、過去10年分くらいの問題は初見でも難なく解けると思います。10年分の過去問を解けるようになるのに、必ずしも10年分の過去問を解く必要はないということです。
ちなみに「過去10年分の試験問題を試し解き」と言っても、私は計算問題については最初から電卓を使用していて、途中の年度からはもう、問題を見て解き方を思い浮かべることができればそれでOKみたいな感じで、次々と問題を見ていくだけになったのですが、四則演算やルート(√)の計算に自信がない人はちゃんと計算をして問題を解く練習をしておいたほうが良いです。試験では電卓は使えないためです。
ちなみに本試験の問題用紙は1ページがA4サイズ(横21センチ、縦29.7センチ)で見開きの右ページに問題、左ページが白紙という構成なので計算スペースは十分にあります。
計算問題
- 問題文を読んで、すぐに解説を見て、問題の解き方を理解して、その解き方や公式等を覚えるだけです。
- 三角関数の基礎知識
- 関数表に載っていない数字のルートの取り方
- 方向角を求める問題(多角測量)
- 360° =359° 59′ 60″ (方向角を求める問題で使うことがある。私は測量士補試験の勉強をしていたときは、方向角を求める計算を解くのにすごく時間がかかっていました。角度を足して180°を引くと答えが出るという公式のようなものの存在を知らずに、補助線を何本も引いて、角度を足したり引いたりしながら問題を解いていたためです。その後、土地家屋調査士試験の勉強をする中でトラバース計算の存在を知り、自分で図を書いて、分度器を使ったり補助線を引いたりして考えた計算方法が1つ上のリンク先の計算方法です。というのも土地家屋調査士試験の本には、トラバース計算のことは「以下トラバース計算により、」としか書かれておらず、その下には初学者には意味不明な数式の羅列が続いていたので……)。
- 180° =179° 59′ 60″ (同上)
文章問題
- 過去問を暗記するだけです。
- 「測量士補試験WEB○×テスト」が便利です(リンク先は別サイトです。このサイトの別のページには平成6年(1994年)以降の約25年分の過去問とその解説もあります)。私が使った「測量士補 問題解説集
」(市ヶ谷出版社)は文章問題の収録が少なめだったと思うので、もしその本で勉強するなら文章問題の勉強には、この「〇×テスト」を使ったほうが良いと思います。
テキストの紹介
テキストは例年3月中旬になってもまだ売れています。個人的にも1月に受験願書さえ出していれば、人によっては勉強は3月からでもまだ間に合うと思います。特に5月の試験前にはゴールデンウイークがありますので、休める人はそのときに死に物狂いで勉強できるのでまだまだチャンスはあります。
毎年200名前後の土地家屋調査士試験合格者を輩出している東京法経学院の本
テキスト・過去問・数学の解説本
- 鉄則!測量士補合格ノート
(テキスト)
- 鉄則!測量士補過去問アタック
(10年分の科目別過去問題集)
- 明快! よくわかる数学 ~測量士補・土地家屋調査士試験をめざして~
もし勉強を始めるならとりあえずこの3冊を購入すると良いと思います。テキストと過去問を他社のものにするよりも、同じ「鉄則!」シリーズを使うほうがテキストと過去問の連携が取りやすいと思います。「明快!よくわかる数学」は社会人のための数学の入門書です。土地家屋調査士試験の勉強にも使えます。
ただし、今後、土地家屋調査士試験の合格を目指すのであれば、意味も分からず内容の丸暗記で乗り切るよりも、きちんと内容を理解して測量士補試験に合格したほうが良いと思うので、できることなら最初から予備校講座を利用することをおすすめします。測量士補試験に独学で合格してお金が浮いて儲かった、というのは誤りで、測量士補試験に独学で合格したツケはしっかり土地家屋調査士試験のほうに回ってきますのでその旨注意してください。やはり王道は大手予備校各社が用意している測量士補試験と土地家屋調査士試験のダブル一発合格を目指すコースなのです。
その他の会社の本
テキスト・過去問・数学の解説本
- 測量士補 合格ガイド
(テキスト)
Kindle無料アプリですぐに読むことができる、amazonカテゴリ「測量士・測量士補関連書籍」でベストセラー1位のテキストです。
- 測量士補 過去問280
(日建学院の過去問題集)
10年分の分野別・項目別の過去問題集です。10年分の過去問題集は、この日建学院のものか、上で紹介している東京法経学院のものかのどちらか1つを購入することになります。
- 測量士補 計算問題の解法・解説
(数学の解説本)
計算問題の解法を解説している本です。amazonによると上で紹介している「測量士補 合格ガイド」「測量士補 過去問280」そしてこの本の計3冊はよく一緒に購入されているそうです。要は独学で普通に勉強をするなら上で紹介した東京法経学院の3点セットを買うか、こちらの3点セットを買うかのどちらかになります。もしかすると、あなたが今このサイトを見ているときは、時が流れて色々な本が出版されており、本の選択肢が増えているかもしれませんが、とにかくテキスト、過去問、数学の解説書の3点があればそれで良いので、その時々に応じて適当にこの3点を選んでください。
- 測量士補 問題解説集
(短期合格を目指す方向け)
必要最小限の内容を詰め込んだ問題集です。科目ごとに問題に入る前に、出題傾向の分析と出題の要点をまとめたページも付いています。独学で短期合格したい方におすすめの1冊です。この問題集と「測量士補試験WEB○×テスト」で文章問題の勉強をした後で、下で紹介している答練や模試の問題を解いてみて実力試しをしてみると良いと思います。
- マンガでわかる測量
(測量の経験がない方向け)
測量に関してまったく無知なのに測量士補試験を受けようとする人はたぶんいないと思います。しかし、もしかするとそういう方もいるかもしれないので一応紹介しておきます。この本は直接、試験対策になるような本ではありませんが、登場人物が測量をしているこの本を読めば、これまで測量をしたことがない方でもきっと測量のイメージをつかむことができると思います。私の弟も中学生のときに、小学校2年生で習う漢字を1文字ずつ紹介するドラえもんの漫画(小学館の学習雑誌「小学二年生」の付録冊子)を毎晩熱心に読んでいました。字は読めなくても漫画なら読めるというのはよくあることだと思います。
答練・模試
勉強が一通り済んだ後は答練や模試を受けてみて試験前に実力試しをしてみることをおすすめします。模試や答練を受けないと、自分の勉強が足りていないことに気がつかないまま試験に落ちる可能性があります。
- 測量士補 本試験対策答練(科目別答練全4回+公開模試2回)
- 測量士補 公開模試2回
- 測量士補 最強の模試
(おすすめ。市販されている本はこれだけです)
みんな自分だけは大丈夫だと勘違いして試験に落ちています。たとえば3点セットだけ買ってしっかり勉強していると自分の実力のまずさに気がつくきっかけがなく(何せ、しっかり勉強していますから自分が試験に落ちるなどとは思わないですよね、でも)、そのままあなたも試験に落ちてしまう可能性が高いのは確かです。
なんせ最大約80%は試験に落ちますから。さらに、ただでさえ分からないことだらけで勉強が続かなさそうな独学者に合格率で追い打ちをかけているのが、きちんとリスク計算が出来ている頭のいい予備校利用者の存在です。
予備校講座の紹介
毎年200名前後の土地家屋調査士試験合格者を輩出している東京法経学院の初学者向け講座
- 通信講座はこちら → 測量士補 新・最短合格講座
- 通学講座はこちら → 測量士補 本科
- 土地家屋調査士試験を目指している方はこちら → 土地家屋調査士+測量士補 超短期合格講座
通信講座であれば、どのコースのどのタイプ(DVDタイプ、WMV映像ダウンロードタイプ、教材学習タイプのどれか)を選ぶかによって価格に最大3倍くらいの差が出てきますので、各タイプの価格を見比べてみてください。割引キャンペーンをしていることもあるので本当にちょくちょく見に行ったほうが良いですよ。早く勉強を始めればその分、試験前に余裕ができますし、ものによっては早期購入特典の提供や早期購入割引などが実施されていることもあり、予備校側も早期の購入を歓迎しています。
測量士補試験・土地家屋調査士試験のダブル一発合格を目指すコースを用意している東京法経学院は、土地家屋調査士試験の合格実績がとても高く、毎年200名前後の合格者を輩出しています。東京法経学院ならバックアップもばっちりなので
安心して受講できると思います。
ところで土地家屋調査士試験の合格者の約5割を輩出している資格予備校やフルカラーテキストの調査士講座のことをご存じでしょうか? 当サイトおすすめの土地家屋調査士試験、測量士補試験の予備校講座はこちらです。リンク先で詳細をご確認下さい。

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