「リチャード三世(シェイクスピア/著 福田恒存/翻訳)」の感想
伯爵レグホン大佐 2013/08/01(Thu) 22:56
内容
残苦の冬も去り、天日も王家の身方。ようやく平穏が訪れた。しかし、ブサイクな主人公・グロスター公(後のリチャード三世)は、みにくい自分は平穏な世界では評価されないことに絶望。絶望のあまり、悪人を演じ、一族および自分のほかに王になる可能性がある人物を次々と手にかけていく。やがてグロスター公はリチャード王になるが、シェイクスピアの作品らしく、いつも通り反乱が起こり敗北する。
感想
歴史をもとにした作品は登場人物の名前が同じようなものばかりで区別がつきにくい。あいつもリチャードでこいつもリチャード、あそこにいるのもリチャード、というような状況におちいり、わけが分からない。
彼女はエリザベス。彼女の娘もエリザベス。先祖もエリザベス。あいつはエドワード。こいつもエドワード? じゃあ、こいつはどのエドワード? お前が殺したのは私のエドワード。お前のエドワードはあのリチャードによって殺された。わけが分からなくなると思う。
高校で世界史を習ったが今はもうほとんど記憶に残っていない。中世ヨーロッパについては革命、ロック、ルソーくらいしか覚えていない。リチャード、ヘンリー、薔薇戦争は記憶にない。子供の頃「ベルサイユの薔薇」というマンガを読んだことがある。しかし、内容はよく覚えていない。あのマンガで記憶にあるのは「アンドレ」と「オスカル」。あとは天然痘くらい。
それはさておきストーリーはなかなか面白い。グロスター公が次々と人々を殺していく。グロスター公が王になった後は、腹心だったバッキンガム公も裏切り者扱いする。疑心暗鬼の塊みたいになっていると思う。
それはそうとグロスター公は不恰好のわりには、殺害したエドワードの妻(アン)を言いくるめて結婚するという荒技を行う。これは相当すごい。夫を殺した張本人と結婚するアンもすごいと思う。しかし結局アンは、途中でグロスター公に消されるという哀れな末路を遂げてしまう。グロスター公は自分が不恰好だから悪人を演じ、悪魔の手先になるという自分勝手な人物である。アンやエリザベスは憎むべきグロスター公に言いくるめられる残念な人に見える。バッキンガム公やヘイスティングズ卿、クラレンス公も信頼していたグロスター公によって処分されるので悲しい。
それはそうと終盤にはリッチモンド伯という人物が出てくる。リッチモンド伯ヘンリーというらしい。よくわからないが彼はグロスター公に勝つ。そしてなぜか王になる。
印象に残ったこと
- お顔を根拠にするヘイスティングズ卿の言葉。
- 残念なバッキンガム公に対するリチャードからの評価。