バーク堆肥(汚泥発酵肥料)に関する誤解について

バーク堆肥に関する誤解について

私の近所で販売されているバーク堆肥は工場汚泥の中に樹皮や木くず等を混ぜて堆肥にしたものです。今回はネットを見ていて気がついたバーク堆肥に関する誤解について書いていきたいと思います。主に次の4点になります。

これから1つずつ説明していきたいと思います。

バーク堆肥は牛ふんよりも安い

ネット上では鶏ふん、牛ふん、バーク堆肥について肥料成分、土壌改良効果、価格の3点から比較されていることが多く、主に次のように解説されていると思います。しかし、このうち価格については誤りがあると思います。そして肥料成分に関しても、たぶん商品により異なると思います。

そしてここでは触れませんが、一口に土壌改良効果と言っても、どのような畑をどのように改良したいかにより土壌改良効果は異なってくるのではないかと思います。

↓ネットでよく見る情報↓
肥料成分土壌改良効果1袋40リットル(鶏ふんは15kg)の価格
鶏ふん多いほぼない安い(100円程度)
牛ふん少ないある中間(300円程度)
バーク堆肥ほぼない高い高い(400円程度)

私は肥料成分や土壌改良効果の測定はできませんが、ホームセンターには行くので価格のことなら分かります。私の近所のホームセンターでは鶏ふん100円程度、牛ふん300円程度、バーク堆肥400円程度の値段で販売されています(すべて税込1袋40リットル(鶏ふんのみ15kg。鶏ふんにはリットルの表示がなかった。袋の大きさはほぼ同じ)の価格)。元ホームセンターの店長さんが2021年8月26日時点で紹介している価格を見ても、会社により多少の差はあると思いますが、複数のホームセンターで大体そんな値段で販売されていることが分かると思います。

そして1袋の値段だけを見ると確かに価格は「鶏ふん<牛ふん<バーク堆肥」なのですが、1つ見落としていることがあると思います。それはその1袋を何坪分の堆肥として使えるかです。私の近所のホームセンターにある堆肥は次のようになっていました。

↓私の近所のホームセンターにある堆肥の情報↓
1袋(40L。鶏ふんは15kg)で何坪分か1坪(約3.3m2)あたりの値段
鶏ふん(15kg)10坪分(約33平方メートル分)約10円
牛ふん(12kg)1坪分(約3.3平方メートル分)約300円
バーク堆肥(14kg)3坪分(約9.9平方メートル分)約133円

このとおり1袋の価格を見るのではなく、1坪あたりの値段を考えると牛ふんよりもバーク堆肥のほうが値段が安いのです(少なくとも私の近所のお店ではそう)。一番高いのは牛ふんです。

鶏ふんは牛ふんと比べて肥料成分が著しく高いとは限らない

鶏ふんの肥料成分が牛ふんのそれと比べて著しく高いとは限りません。商品やその商品の中身により異なると思います。たとえば私の近所のホームセンターに当時あった鶏ふんは窒素、リン酸、加里がいずれも2%強~3%強で、同じ売り場にある牛ふん(窒素・リン酸2%弱、加里2.5%)と大して変わりませんでした。加里などは鶏ふんよりも牛ふんのほうが数字が高いくらいです。

バーク堆肥は必ずしも特殊肥料とは限らない

バーク堆肥は特殊肥料とされています。ウィキペディアも法的定義のところでそう述べています。そして特殊肥料以外の肥料は、法的にはすべて普通肥料に該当します。

バーク堆肥を特殊肥料とする根拠は農林省告示にあり、「一 肥料の品質の確保等に関する法律第二条第二項の特殊肥料」のうち(ハ)の中にある「堆肥(わら、もみがら、樹皮、動物の排せつ物その他の動植物質の有機質物(汚泥及び魚介類の臓器を除く。)を堆積又は攪拌し、腐熟させたもの」という箇所がそれに該当していると思います。

ただし、すべてのバーク堆肥が必ずしも特殊肥料であるとは限りません。というのも私がホームセンターで購入したバーク堆肥は特殊肥料ではなかったためです。私がホームセンターで購入したバーク堆肥は次のようなものでした。

生産業者保証票から一部抜粋
肥料の種類汚泥発酵肥料
肥料の名称※当サイト管理人により削除
原料の種類(原料) 工場汚泥、樹皮、木くず、食品残さ

このバーク堆肥には工場汚泥が使われています。

令和3年1月新潟県農林水産部の特殊肥料生産の手引き(pdf6ページ)によると、特殊肥料に使用できない原材料の1つとして汚泥があげられており「汚泥(※)を使用すると「堆肥」ではなく「汚泥肥料」となり、農林水産大臣の登録が必要となるほか、有機農産物にも利用できない資材となります。 (※汚泥とは、工場、事業所から排出される排水、下水道終末処理場における下水、し尿等を指します。)」とされています。

ただし、農水省の汚泥肥料に関する基礎知識(一般向け)によると、汚泥とは工場などから排出される排水のことではないようです。排水は河川等に放流されるそうです。有害な食品工場排水などを河川等に放流するために、工場内の処理施設等で有害物質を分解・吸着した微生物の死骸が集まって沈殿したもの(有害物質が濃縮され高濃度になっている可能性がある)が汚泥とされています。


有害な汚泥を無害な汚泥にすることはできないようです。汚泥に含まれる有害な成分のうちひ素、カドミウム、水銀、ニッケル、クロム、鉛などはすべて元素でそれ以上は分解できないようです。そのため生活雑排水やし尿、食品工場排水などに含まれるそれらの有害成分を微生物に吸着させ、有害成分を体に溜め込んだその微生物を集めて沈殿させることで、1つの有害な排水を、①有害成分を除去して河川等に放流できる浄化された排水と②有害成分(汚泥)の2つに分離させるそうです。

そしてこのような汚泥をどうして畑に入れるのかというと、汚泥は有害成分が濃縮し、高濃度になっている可能性もありますが、窒素、リン酸などの栄養分も豊富に含んでおり、肥料になるためとされています。このような汚泥を土に入れると土壌汚染になり、有害成分は作物に取り込まれるそうです。そしてその作物を人間が食べ、人間は有害成分を排便し、再び下水処理場に戻った有害成分を含んだ汚泥が肥料になるというサイクルになるようです。


なんにしても私が購入したバーク堆肥は特殊肥料ではありません。農林水産大臣の登録も確認しました。堆肥ではなく、生産業者保証票によると汚泥発酵肥料です。バーク堆肥が必ずしも堆肥であり特殊肥料であるとは限りません。特殊肥料のバーク堆肥(堆肥)ではなく、普通肥料のバーク堆肥(汚泥発酵肥料)が入っていることもあるようです。

同じ商品でも袋によって中身が違い、工場汚泥が入っていることもある

同じ年に同じホームセンターで同じ価格の同じ商品を購入している方を見つけました。この方です。しかし、この方の購入したバーク堆肥と私の購入したバーク堆肥は中身が違っていました。

この方が購入したバーク堆肥の「肥料取締法に基づく表示」から一部抜粋
肥料の種類たい肥
肥料の名称バーク堆肥
原料樹皮、植物性有機物
私が購入したバーク堆肥の「生産業者保証票」から一部抜粋
肥料の種類汚泥発酵肥料
肥料の名称※当サイト管理人により削除
原料の種類(原料)工場汚泥、樹皮、木くず、食品残さ

この方が購入したバーク堆肥には原料として工場汚泥の記載がありません。そのためこの方が購入したバーク堆肥はもしかすると特殊肥料かもしれません。同じ年に同じホームセンターで同じ価格の同じ商品を購入しても、袋によって中身が違い、普通肥料のバーク堆肥(汚泥発酵肥料)ではなく、特殊肥料のバーク堆肥(堆肥)が入っていることもあるようです。

画像検索で同じ商品を探してみると植物性有機物も使われておらず原料が樹皮のみのバーク堆肥(堆肥)もあるようです。もし同じ売り場に原料だけが違う同じ商品(「工場汚泥、樹皮、木くず、食品残さ」の袋、「樹皮、植物性有機物」の袋、「樹皮」の袋の3つ)があり、その旨を強調して表示していれば、かっこ内の先頭のバーク堆肥はたぶん選ばれにくいと思います。

私の近所や他府県にある同じホームセンターの堆肥の原料
原料袋に大きく書いてある商品名
鶏ふん鶏ふん発酵鶏ふん(←分かる)
牛ふん牛ふん、おがくず、樹皮発酵牛ふん(←分かる)
バーク堆肥
(全部同じ商品)
樹皮
(商品の重量は20kg)
熟成バークたい肥(←分かる)
樹皮、植物性有機物
(重量読み取れず不明)
工場汚泥、樹皮、木くず、食品残さ
(商品の重量は14kg)
熟成バークたい肥(←

同じホームセンターにある同じ袋の同じ商品でもお店がある地域や時間の経過等により中身は様々です。「熟成バークたい肥」と書いてあるためバーク堆肥だと思って買ったら、たい肥ではなく汚泥発酵肥料が入っていることもあるくらいです。バーク堆肥の体積はどれも40Lですが、私が購入したバーク堆肥は14kgと比較的軽いため持ち運びしやすいという利点があります。

公定規格に則る汚泥発酵肥料はむしろ特殊肥料の堆肥よりも安心?

工場汚泥と聞くとすごく印象が悪いと思います。しかし、普通肥料のバーク堆肥(たい肥)は、特殊肥料のバーク堆肥(汚泥発酵肥料)とは違い、公定規格で含有を許される有害成分の最大量が定められており、この規格に則(のっと)る普通肥料のバーク堆肥(汚泥発酵肥料)は、公定規格がない特殊肥料のバーク堆肥(たい肥)や鶏ふん、牛ふんなどの家畜ふん堆肥よりも、むしろ安心と言えるかもしれません。

家畜ふん堆肥に関する規制は、2000年の肥料取締法改正により無くなったそうです(pdf2ページ。右側1行目以降)。ただし、これは2002年の話で今はどうなっているかは検索してもまったく情報がないため何も分かりません。それ以前は汚泥肥料も特殊肥料とされており、汚泥肥料や家畜ふん堆肥には乾物1kgあたり、ひ素50mg以下、カドミウム5mg以下、水銀2mg以下という、この3つの有害成分に関しては現在の汚泥発酵肥料に含有を許される有害成分と同じ数値の規制があったそうです。ただし、同pdfのデータを見ると、家畜ふん堆肥に含まれる有害成分は、汚泥発酵肥料に含有を許される有害成分の最大量と比べるとかなり低い印象を持てると思います。同pdfによると「一部の堆肥でみられた高濃度に含有された重金属は,一部の木質系副資材に由来する可能性が推測された」とされています。

汚泥発酵肥料に含有を許される有害成分の最大量(乾物あたり)
ひ素0.005%、1kgあたり50mg 和歌山毒物カレー事件
被害者のひ素摂取量は、重症者で200mg以上、
軽症者で20mg~30mgだった。
私の購入したバーク堆肥は14kgですが、
乾物だともっと軽くなると思う。
そのため、14kg×50mg=最大700mg含有
というわけではない。
カドミウム0.0005%、1kgあたり5mgイタイイタイ病
水銀0.0002%、1kgあたり2mg水俣病(映画「MINAMATA―ミナマタ―」公式サイト)
ニッケル0.03%、1kgあたり300mg悪魔の銅。発がん性物質
クロム0.05%、1kgあたり500mg六価クロム。発がん性物質
0.01%、1kgあたり100mg鉛中毒

ただし、これだけだと汚泥発酵肥料と家畜ふん堆肥の公平な比較にはならないと思います。なぜなら汚泥発酵肥料に実際に含まれる有害成分の量が不明のためです。汚泥肥料の種類と成分含有量の実態—FAMICの肥料検査成績から—を見ると、汚泥肥料も有害成分の量は少ないものが多いようです(pdf8ページの表6)。FAMIC(独立行政法人農林水産消費安全技術センター)とは、農林水産大臣の登録前の普通肥料の事前調査をしている組織です(ただし、このpdfは2013年の話で今はどうなっているかは検索しても情報がないため何も分からない)。

ここでもう1つ問題になると思うのが、汚泥が常に一定の汚れ方をしているとは限らないことです。すごく汚れている場合もあれば、少ししか汚れていない場合もあると思います。これは農水省の「汚泥肥料に関する基礎知識(一般向け)」でも指摘されているところです。汚泥発酵肥料の登録の有効期間は3年となっており、登録時の調査では基準値を下回っていた場合でも、その後に汚泥発酵肥料の生産者が生産した汚泥発酵肥料が、どの程度の汚れ方をしているかは登録を引き受ける側には分かりません。FAMICの立入検査により判明した個別の違反事例の公表はこちらです。


いかがでしたか? 私は今、畑の隅に山積みされたこの工場汚泥の処分に困っています。同じホームセンターの同じ価格の同じ商品でも袋によって中身が違うことがあるため、堆肥や肥料の購入時には生産業者保証票や肥料取締法(+地力増進法)に基づく表示をよく見て、中身をよく確認してから購入するようにしましょう。個人的には通販のレビューなどを見て通販で購入するのがおすすめです。それが嫌なら工場汚泥を使うしかないですね! 公定規格もあり安心して使えると思います。